円形脱毛症は軽度のものであれば、何もしなくても自然に髪が生えて治ることもあります。
しかし、放置しておいても大丈夫かどうかを自分で判断することは難しく、治ったと思っても再発してしまうケースもあるので注意しなければなりません。
少しでも早く治したいときは、病院を受診するようにしましょう。
その際、円形脱毛症の治療法について、あらかじめ把握しておきたいという方も多いと思います。
そこで今回は、円形脱毛症の治療法を詳しく解説いたします。
円形脱毛症の明確な治療法は確立されていない?
円形脱毛症の原因ははっきりしていませんが、現在では自己免疫疾患とする説が有力です。
自己免疫疾患とは、免疫が正常な細胞や組織を異物と認識して攻撃してしまう疾患のこと。
円形脱毛症では、Tリンパ球という免疫細胞が毛根を異物とみなして攻撃することによって発症すると言われています。
しかし、なぜこのようなことが起こるのか直接的な原因はわかっていないのです。
そのため、円形脱毛症は明確な治療法が確立されておらず、対処療法で治療を行うことになります。
しかし、脱毛が1箇所だけの軽度な円形脱毛症では、80%程度の患者が1年以内に回復しているという報告もあるので、早めに医師に相談してみることをおすすめします。
円形脱毛症を放置して治ることもあるの?
円形脱毛症には脱毛が1箇所の「単発型」と、複数の「多発型」、頭全部に及ぶ「全頭型」、毛髪だけでなく眉など体中の毛まで脱毛する「汎発型」の4種類があります。
このうち単発型の場合、治療せずに放置しておいても回復するケースもあるのです。
「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも、「単発型あるいは少数の脱毛斑(数個程度)の症例の場合、発症後1年以内は経過を観察するだけでもよい」としています。
ただ、円形脱毛症は再発する例も多く、また、脱毛初期から時間が経つほど、そして脱毛面積が広くなるほど回復率も低くなり治療に時間がかかります。
安易に自己判断せずに、一度専門医に相談してみた方がよいでしょう。
参考:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf
円形脱毛症の治療法1:注射による治療法
円形脱毛症の治療法の1つに、単発型や多発型の成人に行うことができる、ステロイド剤の局所注射療法があります。
これは、炎症や免疫機能を抑える働きのあるステロイド剤を、脱毛部位に直接注射する治療法です。
投与間隔は4~6週間に1回とし継続して行いますが、効果が出ないときは中止します。
発毛効果の高い治療法ですが、注射箇所の痛みや皮膚の萎縮などの副作用の可能性があります。
また、脱毛が広範囲の場合、この治療法は適しません。
円形脱毛症の治療法2:内服薬による円形脱毛症治療
円形脱毛症に使われる内服薬には、次のようなものがあります。
抗ヒスタミン薬(第2世代抗ヒスタミン薬) | アトピー性皮膚炎などがある単発型・多発型の患者に、併用療法として用いられます。 脱毛範囲が縮小し、より早期に改善する例が報告されています。 |
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セファランチン | アレルギーを抑え、血流をよくする薬で、併用療法の1つとして使用されます。 十分な実証はされていないものの、国内の診療実績が多く、安全性が高いため行ってもよいとされています。 |
グリチロン | 炎症やアレルギーを抑える薬で、併用療法で用いられます。 検証は不十分ですが国内での診療実績もあり、安全性は高く服用療法を行ってもよいとされています。 |
ステロイド | 炎症や免疫機能を抑える効果のある内服薬で、重症で進行性である成人の円形脱毛症に用いられます。 投与期間は3ヶ月以内とし、1ヶ月以内に脱毛の停止や発毛が認められた場合は減量し、1ヶ月経った時点で効果が認められない場合も薬の量を減らすことになっています。 効果は高いのですが、服用をやめた後の再発のリスクも高いというデメリットがあります。 また、子どもに対しては安全性も確立されていないことと、再発率が高いことから使用されていません。 |
円形脱毛症の治療法3:外用薬による円形脱毛症治療
円形脱毛症に使用される外用薬は、次の3点があります。
ステロイド | ステロイドの外用薬には、炎症や免疫機能を抑える働きがあります。 単発型か多発型でも融合性のないタイプに用いられ、クリームやローションを1日1~2回使用します。 発毛効果の有効性が報告されており、国内での膨大な診療実績がある治療法です。 |
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フロジン液 | 血行を促し、発毛促進作用があります。 この薬の有益性については十分に実証されていないものの、莫大な診療実績もあることから単発型・多発型の併用療法として用いてもよいとされています。 |
ミノキシジル液 | 血行促進効果があり、単発型及び多発型の併用療法として行ってもよいとされています。 有用性については十分に実証されていませんが、海外では診療実績があります。 |
病院での治療では副作用が出ることも?
病院での薬を用いた治療法では、副作用が出ることがあります。
どの薬にも副作用がありますが、ここでは「局所注射」・「内服薬」・「外用薬」の3種類の治療法があるステロイド剤の副作用についてご紹介します。
局所注射 | ステロイドの局所注射には、注射時の痛みがあります。 副作用には、注射した箇所のへこみ・皮膚の萎縮などが挙げられます。 |
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内服薬 | 副作用は高血糖・肥満・骨粗しょう症・ムーンフェイス・高血圧・感染症などがあります。 |
外用薬 | 皮膚の萎縮・毛細血管拡張などの副作用があります。 ステロイド治療の中では、比較的副作用が少ない方です。 |
ステロイドは長期投与を続けると副作用の危険性が出てくるため、期間を限定して慎重に治療を行う必要があります。
まとめ
円形脱毛症は軽度ものであれば、自然治癒する可能性もあります。
しかし、再発する可能性が高いことや、時間が経って症状が悪化してしまった場合に、治療が難しくなることを考えると、一度専門医に相談してみた方がよいでしょう。
円形脱毛症は早期発見と早期対応がカギとなるので、「もしかして…」と感じたら、早めのケアと対応を心がけてくださいね。